硯、紙、書画用品

硯

文房四宝の中で、筆、墨、紙は消耗しやすいのに対し、硯は終生にわたるため思い入れ深く愛されています。硯はもともと「スミスリ」から転じ「スズリ」と呼ばれたといわれています。

硯は、鋒鋩(ほうぼう)(石を形成する粒子のことで、石の目ともいう)が緻密であることが石の必要条件です。その代表的な石が中国の「端渓硯」、「歙州硯」、「澄泥硯」です。

端渓硯(たんけいけん)

中国広東省高要県の東南欄柯山で産出。特徴は石にさまざまな表情が見られ、硬すぎず、柔らかすぎず、且つ鋒鋩が強く人気があります。

歙州硯(きゅうじゅうけん)

中国安微省歙県竜尾山で産出。別名、竜尾硯ともいい、羅紋硯もこの種類に属します。端渓硯とともに硯の双璧をなすといわれる硯。

澄泥硯(ちょうでいけん)

江河の濁流の細かい泥を使って練り、焼き上げたもの。

上記の硯石も今は数も少なく、高価なため古硯と呼ばれています。
現在、一般的に中国産のものであれば新端渓羅紋硯、国産では、下記を含め70種類はこすといわれています。

玄昌石(げんしょう)
宮城県仙台市付近で産出。別名、雄勝石ともいう。鋒鋩はさほど強くなく、産出量が多いため、学校用、事務用に広く用いられています。
紫雲石(しうん)
岩手県東盤井郡に産出。色赤く、石質はやや粗いが墨はよく下りる。
雨畑石(あまはた)
雨端石とも書き、山梨県南巨摩郡雨畑村で産出。光沢があり、やや青味を帯びた黒色。和硯としては良質であり広く用いられています。
高島石(たかしま)
滋賀県高島郡に産出。別名、虎斑石ともいう。黄味を帯びた地に、青黒色の斑点が散在する。鋒鋩は比較的弱く、粗さがある。
赤間石(あかま)
山口県厚狭郡厚西村で採掘される。付近に赤間関があるので、赤間石と呼ばれる。赤紫色、又は紫青色でやや端渓の色に似ています。硯としての実用性より主に観賞用に富んでいます。
硯の寸法、用途と呼び方
四二寸(しにすん)(約12p×6p) 一般用・事務用・仮名書き用
四平(しひら)(約12p×7.5p) 学童用・初心者用・半紙に5〜6文字用
四五平(しごひら)(約13.5p×7.5p) 学童用・初心者用・半紙に5〜6文字用
五三(ごさん)(約15p×9p) この寸法以上は、大硯の部に入り、揮毫用(書画用)の大きな字を書いたり、多くの文字を書くのに適します。
その他のサイズと呼び方
二十五度(にごたび)(約7.5p×4.5p)
三十五度(さんごたび)(約10cm×4.5cm)
小四六(こしろく)(約16.7cm×10cm)
大四六(おおしろく)(約19.5cm×13.5cm)
※平=2.5寸=約7.5p
※度=1.5寸=約4.5p
硯の形

形は、角型、唐型(角に丸みを帯びたもの)が一般的で、長方形のものが多い。その他に小判型や石の自然の形を残した天然硯、また硯板と呼ぶ平面のままのものもあります。硯板の場合、多くは水墨画に利用されます。

使用後のご注意

永くお使いいただく為に、使用後の墨液は翌日に持ち越すことなく、柔らかい布切れや、不要になった筆を利用して、墨粗を洗い落として下さい。

紙

現代の生活用紙としては洋紙が主流となりつつありますが、昔から日本人に愛されてきた和紙にも、洋紙に勝るとも劣らない特長があります。

ひとことで「和紙」といっても、和紙には原料(楮、雁皮、三椏など)、産地(因州紙、美濃紙、石州紙など)、形状、用途、品質、色(染料)、加工(紺紙、墨流し紙、具引き紙など)などによっていろいろな種類があります。

紙の原料
楮(こうぞ)

楮は、桑科に属し、寒い地方でよく育ちます。主に高知県、茨城県、島根県などで生産。

楮の繊維は、他の紙の原料の中でも強く、繊維がからみあう性質があります。特に大きな特色は、湿度に強く、麻、雁皮、三椏に比べて伸縮が少なく、加工に強い利点があります。

主に、障子紙、傘紙、奉書、檀紙などに多く用いられます。

雁皮(がんぴ)

雁皮は、ジンチョウゲ科の属し、暖かい地方で栽培されます。主に三重県、和歌山県、兵庫県、高知県などで生産。特徴として雁皮は、楮、三椏とはちがい人工栽培ができません。

雁皮の繊維は強く丈夫で、細く半透明でやや潤んだような光沢があります。

雁皮は、水によってやや伸縮することもあり、また一度折れ目がつくと直らない欠点があります。
主に、色紙、短冊、扇面、古文書などにも用いられており、薄くて丈夫なことから版下用紙にも使用されています。

三椏(みつまた)

三椏は、ジンチョウゲ科の属し、温暖で雨量の多い地方(中国地方、四国地方)で栽培されています。

三椏は、質が細かく、粘り気が強く弾力性があって折り目をはねかえすことから、シワがよらない優れた特色をもっています。

楮紙に比べて幾分軟らかみがあるため、書道用紙、色紙、短冊などに使用されています。

書画用品

現在では、文房具と言えば子供の学習用具であったり、事務用のため、書斎に置かれる道具類のことをいいますが、昔は文房具というと書画用品のことを指していました。
書画用品には、筆・墨・硯・紙の他に、文鎮、筆筒、硯箱、筆洗、筆架、水滴、墨床、墨池、筆掛、腕鎮、印材などがあります。

筆筒(ひっとう)

筆を入れる筒です。その昔中国では、筆筒の中に書箋なども入れていたと言われています。頼山陽は、ほとんどの文具(書画用品)をみずから作ったといわれています。

硯箱(すずりばこ)

硯と墨、筆、水滴などを入れる箱です。中国では、硯と同じ形に作った箱を硯箱と呼んでいます。

筆洗(ひっせん)

使い終わった筆を洗う器。

筆架(ひっか)

筆をのせる台。

墨床(ぼくしょう)

墨をのせる台。

書鎮

紙、書物などを押さえるもの。

硯屏

もともとは、硯をホコリなどを防ぐもの。現在では、実用性より鑑賞用又は飾りとして好まれています。

印材

印章、落款などを彫るための素材です。

水滴

硯石に水を注ぎ入れる器です。
水入れ、水差しとも表現します。

矢立

墨ツボに墨液を入れ、筒に筆を納めて持ち歩き出来る形にした携帯筆記具です。

印矩

出来上がった作品に印を正しく押すための定規です。

腕鎮

書画用として筆を持った腕をのせて安定させる為に使います。

筆掛

筆を吊るして置くためのもの。ご使用後に筆を正しく洗って毛先を下にして干すと水が根元にたまらずカビを防ぎます。収納、部屋飾りとしてもお使いいただけます。

書盆

机上用として書簡を納めておいたり、書道用具を入れておきます。